ふらりと入った書店で何気に取った本です。
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食べる事が好きなので、この手の食を絡めた本は好きな方なのですが、食べるって何だろうという事を考えさせられました。
ひょんな事から口がきけなくなった主人公女性が故郷に帰り完全予約制レストランを開き、お客さん、母親とのやりとりが描かれています。内容としてはちょっと薄っぺらい感は否めず、深みは無いもののその場所の光景や香りがイメージされる不思議な本です。
それは食材に対して、そして料理に対しての描写はなかなかだったのかもしれません。
手を汚す事も体を痛める事もなく、スーパーに行けば食材は簡単に手に入ります。
一方で賞味期限を過ぎたらどんどん破棄される弁当。
食べ残しやら余り物も大量に排出される日本の台所。
そうした料理が口に運ばれるまで、どういう過程を経たんだろう。小さかった頃は、『もったいない』という言葉が一般的で、食べ物は粗末にするな!という教えが一般的でした。
学校でも食べ残しをさせないという教えだったし、風邪で休んだりした子供の家に給食をもっていってあげるなんてのも普通でした(今どうなんだろ?)。
農家の方が一生懸命作ってくれた。
動物や魚などの生き物が命をささげてくれた。
神様が宿っているなんて話も聞いた事があります。
出されたものを当たり前の様に食べる、つまり食事はするけれど、今一度、その料理がどういう手順を経て、またはどういう思いがこもって食卓にあるのか、ちょっと考えてもいいなと思った一冊です。