森美術館でやっている「リー・ミンウェイとその関係展」の作品の一つプロジェクト・リビングルームに参加してきました。
普通の美術展の様な観るだけのものとは異なり、参加する事によって完成する作品の共通キーワードが「関係性」です。
私たちは結果や出来上がっているものにフォーカスしがちで、それを構築するまでの過程はあまり意識しません。特に情報があふれている今の世では、すぐに答えを求める事が出来てしまう為、思考する機会も減ってきているように思えます。
リビング・ルームという作品はまさにリビング・ルームそのもの。自由にそこにあるソファや椅子などに腰掛けられるようになっていて、もちろんくつろぐだけでも良いですが、面白いのはそこに様々なホストがやってきて話しをしてくれる事です。
そこでその日偶然居合わせた人との関係や、自分と関わっている何かを考えてみる。
それにしても、自由にホストに質問するなど会話を楽しむ事が出来るなんていうのは正直あまり無いんじゃないかな。(あっ、ちなみに係りの人に聞いたらそうやって積極的に会話してくるのは外国の方や関西の方なんだそう。)
その後で、神保町にある美学校の藤川校長とお話させて頂きました。
色々な話しが出たのですが、その中で出てきた「想像力」という言葉が心に残りました。
というのも想像力は子どもと接している時に私たち大人が必要なものでもあるからです。
子ども達は大人に比べて語彙が少ないですよね。
言葉を使えば簡単に伝わる事も、100の言葉を知っていれば拡がる会話も、満足に出来るものではありません。だからこそ大人が想像力を働かせて子供達の頭の中を覗いてみる事が大切です。
リー・ミンウェイの展覧会で意識させられた関係性も結果だけを観るのではなく、その結果に至るまで関わる様々な事を想像する事で物事に対してもっと多くの発見がある事を教えてくれています。
様々な言葉を覚え、様々な物事を経験した大人の思考や見方がフィルターになり、大切なものや本来得られる学びが減ってしまったり、チャンスを逃してしまう。
そのフィルターを取り外してくれるのが「想像力」なのかもしれません。