皆さんも経験があると思うのですが、新しいサービスや事業を立ち上げようとする時、同業種の方々と話していると、その業界内での様々な先例から、課題や問題点にばかり目がいき、リスクばかりが列挙されてしまいビジョンやしっかりとしたコンセプトを掲げていたとしても色々なものが削られていってしまったり、そもそもスタートする事すらできないなんて事があるのではないでしょうか。
もちろん、その業界の中で様々な経験を積み勉強され、情報を収集しているからこそ問題点も浮き彫りになってくるものですが、そもそも本質はどこへ行ったんだと思う事があります。
人は相対的に物事を判断する傾向があります。
例えばセブンイレブンをやろうと鈴木敏文氏が始めようとした時は社内の誰もが反対したというのは有名な話です。
一号店が豊洲に出店した1970年代は大型店の時代と言われスーパーなどの時代。経営陣からすれば、どうして小規模なお店を出すのか?米国のケースとは全く異なるし商店が充実している日本では近所で売っているものばかりじゃないかと大反対が起きました。
また、今では誰もが使うインターネット。先般、キャンペーンで楽天の一日あたりの流通額が130億円という報道がありましたが、ネット通販が出始めた90年もセブンイレブンと同じような声がありました。
もちろん失敗した事業は星の数ほどあるし、一例だけで失敗、成功の要因を測る事は出来ません。だからこそ、新しい事を始める時はリスクヘッジで様々な検証がされ、業界や市場分析も行われるのでしょう。
しかし、そうした事ばかりに囚われ相対的に判断され、本質を見失ってしまう事があるのではないか?と・・・。
もう一つの例として、96年にバンダイとappleが出したピピンアットマークというインターネット端末の事も触れてみたいと思います。
当時、社内でも一人一台パソコンがあるという時代でもなく、また一人一人、インターネットも表計算もワープロもメールも色々な事を知りたいという時代。
ネット時代を見越して作られたピピンは結局不調のままで生産終了になりました。
新しい技術、新しいサービスを見ているとふと、業界を知れば知るほど、また他のサービスを研究すればするほど、消費者ニーズと離れていってしまう事があるのではないか?本質を見失う事があるのではないか?と思いつつそうした事には常に注意しなければいけないと思っています。
情報社会から知的社会へのシフトが始まっている今、情報ばかりを集める事に一生懸命になり、情報を持ちすぎるからこそビジョンからはかけ離れていってしまう。だからこそ、常に本質とは何かを考える必要がある。
そしてこの事は子供達にも伝えたい事だと思っています。
すぐに問題点に目がいくのではなく、創造によって作られる未来を信じてもらいたい。
だからこそ、ただいたずらにカリキュラムを組み○○教室をやってますというのではなく、もっとも大切な人間力を培う事をこれからもとことん意識していきたいと思います。